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コラム COLUMN

日本人の日本人による本塁打王争い タイムリーdata vol.41

多田 周平

 セ・パ両リーグで激しい本塁打王争いが展開されています。セ・リーグでは序盤にDeNA・筒香嘉智が独走。しかしケガで離脱する間にヤクルト・畠山和洋が爆発し、一気に抜きました。一方のパ・リーグでも日本ハム・中田翔の独走の気配が漂いましたが、西武・中村剛也が猛追し、大阪桐蔭OBがしのぎの削りあい。今季は両リーグとも日本人によるキング争いが展開されています。

近年は助っ人スラッガーの独壇場

 そもそも両リーグともに日本人同士が本塁打王争いを繰り広げたシーズンは、なかなかありませんでした。ここ10年では、パ・リーグは中村が5度のキングに輝くなど、タイトル争いを引っ張ってきましたが、セ・リーグは助っ人強打者たちが君臨。2008年の村田修一を最後に、日本人本塁打王は現れていません。バレンティンブランコ、ラミレス、T・ウッズといった多くの飛ばし屋がリーグを席巻。2位までに外国人選手が入らなかったのは、10年前の05年が最後でした。

 次に、両リーグともに3位までに外国人選手が入らなかった年を見てみましょう。パ・リーグは10年にT-岡田(オリックス)、山﨑武司(楽天)、多村仁志(ソフトバンク)の3人が上位に入っていますが、この時セ・リーグは1、2位がラミレス(巨人)、ブラゼル(阪神)でした。セ・リーグで最後に上位3人が日本人だったのは、1998年までさかのぼります。松井秀喜(巨人)、江藤智(広島)、山﨑武司(中日)がトップ3でしたが、この時のパ・リーグは1、3位がウィルソン(日本ハム)、クラーク(近鉄)でした。90年代のパ・リーグは95年を除くすべての年で、外国人が本塁打王に。今のセ・リーグと似たような状態となっていました。

日本人がトップ3を占めたのは40年以上も前!

 トップ3が両リーグとも日本人だったのはさらに前にさかのぼり、今から43年前の72年。セ・リーグでは王貞治が11年連続の最多本塁打。2位に入ったのはこの年に自身初の30本塁打をクリアした田淵幸一。この3年後に、王の連続タイトル奪取をストップさせた男です。一方のパ・リーグは、2年連続で本塁打王だった大杉を抑え、長池が3年ぶりのタイトルに輝きました。この2人のタイトル争いは、とても印象的なものなので、以下で詳しく話していきます。

最大15本差をひっくり返した逆転劇

 この年は大杉が開幕から本塁打を量産。5月には当時のプロ野球記録に並ぶ月間15本塁打を放ちました。前半戦を折り返した時点では、2位の野村と7本差でトップ。一方の長池はオープン戦のケガの影響もあり開幕から出遅れ。さらに6月下旬からは持病のアキレスけん痛で再び離脱するなど、大杉とは一時15本の差をつけられました。前半戦を終えた時点では、もはやタイトル争いに加わるという本数ではありませんでした。

 ところが後半戦から大杉が失速。一方の長池は神がかり的な勢いで本塁打を積み重ねると、9月28日に38号を放ち、ついに大杉に並びました。そして同30日にはついに逆転。この日の一発で、長池もまたプロ野球記録に並ぶ月間15本塁打をマークしました。
 大杉は10月に2本塁打を放って再逆転し、トップに立って全日程を消化。長池にとっては前年に続き、最終戦で1本差を追うという展開となりましたが、前年の雪辱を果たすかのように2本塁打。長池はこの年110試合の出場止まりで、大杉は全試合フル出場。出遅れた長池が、驚異の猛追で逆転劇を完成させたシーズンでした。

 さて話を今年に戻すと、開幕から出遅れていた昨季の本塁打王・エルドレッドが今月7日、4号本塁打を放った際のヒーローインタビューで、2年連続のタイトル奪取を宣言しました。ここまで21試合の出場で5本塁打を放っており、トップ・畠山とは13本差。ですが前述の長池の例もあるだけに、あながちタイトル防衛の可能性もゼロではないでしょう。
 シーズン終盤、今のように日本人によるタイトル争いが続いているのか、今後も見守っていきたいところです。