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コラム COLUMN

阪神・横田慎太郎は本物か

山田 隼哉

オープン戦の打率は再現するのか

 オープン戦では例年、若い選手が何人かブレークするものです。今年で言えば、阪神の横田慎太郎がその筆頭でしょう。2014年に鹿児島実業高校からドラフト2位で入団した彼は、きのうまでのオープン戦で規定打席到達者中3位となる打率.393をマークし、多くの注目を集めました。高卒3年目で勝負の年を迎えていると言えますが、現時点では開幕スタメンの可能性も十分と見られ、ファンにとっては楽しみな存在となっています。

 しかしながら、過去の例を見ると、オープン戦の打率とシーズンの打率が結びつくケースは必ずしも多くありません。2000年以降、オープン戦で40打席以上、シーズンで200打席以上に立った延べ854選手を対象に、それぞれの打率を並べてみると、その相関係数は0.09と非常に低く出ています。また、オープン戦で打率.350以上を残した選手の7割近くが、シーズンでは打率.300に届いていません。長年プロ野球を見ているファンにとっては大いにうなずける話かと思いますが、オープン戦で高い打率を残したからと言って、シーズンでも活躍できるかどうかは分からないのです。

 では、横田はどうでしょうか。具体的にどのくらいの成績を残すかは予測できませんが、彼の課題点を指摘するのはさほど難しいことではありません。彼が抱える弱点は、非常にシンプルなものです。横田慎太郎という打者は、選球眼が良くないのです。

明らかに少ない四球出塁

 横田がこのオープン戦で選んだ四球はわずか1つです。この結果を見るだけでも、いかに彼があらゆるボールに対して積極的にスイングしていたかが想像できます。もちろん、オープン戦というトライの場であることも多分に影響していると考えられますが、この傾向は昨季までのファームでも以下のように同様でした。

2014年 189打席 10四球(5.3%)
2015年 367打席 13四球(3.5%)

 ウエスタン・リーグの四球率の平均が例年8%前後であることを踏まえると、やはり横田の四球を選ぶ能力は低いと言わざるを得ません。一般論として、四球を選べない選手はどうしても出塁率が上がっていかないため、チームへの貢献度という点では不利になってしまいます。

驚異の高めボール球スイング率

 オープン戦での横田のスイング傾向を細かく見てみましょう。左の図はゾーンごとのスイング率を表したもので、右の図は見送った投球(青色)とスイングした投球(赤色)を1球ごとにプロットしたものです。これを見ても、ボールゾーンの投球を高い確率でスイングしていることが読み取れます。特に、高めに外れたボールに対しては非常に強い積極性が見られます。この傾向は、そのボールをある程度ヒットにしてしまうことも期待できる一方、外国人投手など、威力のある速球を持つ投手との対戦では、空振りやポップフライを誘われるケースがあり、不安材料と言えるでしょう。

 オープン戦を通して、横田のボールゾーン全体のスイング率は43.7%でした。これは、昨季のセ・リーグで400打席以上に立った選手の誰よりも高い数値です。積極的なスイング傾向そのものは悪いことではありませんが、これほどまでにボール球への手出しが多いと、出塁率を向上させる上でかなり高いハードルが立ちはだかると考えられます。他球団もその弱点を突いてくることは容易に想像できるため、今後間違いなく適応が求められる部分と言えそうです。

 もっとも、このオープン戦での横田はボールゾーンの投球でさえ、打率.273を残していますので、そのバットコントロールは評価に値するものと言えるかもしれません。ただし、それによって生まれたヒットは強い打球でないことが多く、BABIPの観点から言えば、シーズンを通してこれを続けるのは簡単ではないように思えます。一方で、内野安打の多さに関しては本人の俊足によるところが大きいため、シーズンでも一定数の積み上げを期待できるでしょう。

横田が目指す打者像とは

 過去10年、シーズンで400打席以上立ち、3~4%の四球率を記録した選手は上の表の通りです。彼らの平均出塁率は.315とやはりレギュラー選手にしては低く、OPSも.700を下回る選手が大半でした。もし、仮に横田が選球眼の弱点を克服できないとしたら、それを補うだけのパワーが求められます。ラミレス(ヤクルト~巨人~DeNA)がその典型と言えますが、2008年の後藤光尊(オリックス)のように四球を選べなくても、一定の長打力を発揮することでOPSを押し上げることは可能です。横田は昨季、ファームで9本塁打を放っているだけに、超積極的パワーヒッターとしての道を歩むという手もあります。

 果たして、横田はこれから先、どのようなタイプのバッターに成長していくのでしょうか。20歳とまだ若く、発展途上であり、伸びしろに期待ができることは確かです。現時点で抱える選球眼という明らかな課題とどう向き合い、どうやってチームに貢献していくのか。本人だけでなく、コーチングスタッフの手腕も問われています。

着実に進む世代交代

 今年のオープン戦では、新人投手の活躍も目を引きました。特に、広島は岡田明丈(ドラフト1位)、横山弘樹(同2位)、仲尾次オスカル(同6位)の3名が計39回2/3を投げるなど、前田健太が抜けた投手陣の再形成に向け、積極的な起用姿勢を見せました。

 横山は直球とカットボールを中心とした空振り率の高さが光り、岡田とオスカルも打者の手元で動くファストボールを武器にゴロを打たせる投球をアピールしました。ゴロを打たせるという点においてはヤクルトの原樹理(ドラフト1位)も同様で、狭い本拠地球場への適応を感じさせています。

 昨季、多くの大物ベテラン選手が引退し、世代交代のタイミングを迎えているように思える今年のプロ野球。若い力の台頭を予感させながら、静かに開幕の時を待っています。