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  • 1992年4月26日 落合博満(中日)が通算1000得点を達成。 (vs.阪神)
  • 1983年4月26日 西村徳文(ロッテ)がプロ初盗塁を記録。(vs.南海)
  • 2009年4月26日 梶谷隆幸(横浜)がプロ初安打を記録。 (vs.ヤクルト)
コラム COLUMN

なんてったって“いい試合”が見たい タイムリーdata vol.83

西塚 将喜

 2016年のプロ野球は今週末に開幕。シーズンの始まりに合わせて観戦に行きたい、とお考えの方もいらっしゃるでしょう。そして現地では、面白い試合を見たいと誰もが願うはず。ところで皆さまが面白いと感じる基準は何でしょうか。投手戦、乱打戦、空中戦などなど、ここに挙げればキリが無いほどだと思います。そこで今回は、対戦カード別で“どのような試合になる傾向があるのか”をデータで見ていきましょう。今季、観戦試合に迷った際に、ご参考にしていただければ幸いです。

やっぱりホームランが見たい

 高く舞い上がったアーチ。放たれた時から子供や大人に関係なく誰もが見上げ、球場が大きな歓声に包まれます。ここ3年の平均で、そのような瞬間が多かった対戦カードは、巨人vsDeNAでした。2013年5月10日、DeNAが7回表終了時の7点ビハインドから追い上げ、最終回に多村仁志の逆転サヨナラ弾で勝利を収めた試合。この日は両軍合わせて8本塁打が飛び交いました。この例に漏れず、いわゆる空中戦になる試合が多く見られます。
 また、上位にはヤクルトも多く名を連ねていました。東京ドーム、神宮球場、横浜スタジアムはいずれもホームランが出やすい球場として有名。1.00を基準にその球場は相対的にアーチが出やすいのか否か、を示す指標である本塁打パークファクターでは、毎年上位となっています。
 その本塁打パークファクターですが、パ・リーグの本拠地では大きな順位変動が起きています。ヤフオクドームは14年までは、本塁打の出にくい球場でした。ところが15年は「ホームランテラス」の設置により、最も出やすい球場へと変化。この影響もあり、昨季に限るとソフトバンクvs西武がトップのカードとなりました。

足で魅せる対戦カード

 攻撃はバッティングだけでは成り立ちません。走塁も得点につながる大事な要素です。特に盗塁を巡る駆け引きは見ごたえがあり、走者がスタートを切ってからの数秒間は、手に汗握るのではないでしょうか。
 本塁打と同じ条件で、盗塁を目にする機会が多かったカードを見てみると、日本ハムvs楽天となりました。昨季に限ると、盗塁成功数はほぼ同数ながら、成功率は日本ハムが上回っています。日本ハムには陽岱鋼西川遥輝中島卓也が、楽天にも聖澤諒らが在籍しており、新旧の盗塁王がそろう両チーム。今季も好機を広げる走りを見せるのか注目です。
 しかし盗塁阻止の話では、先ほどの両チームが、昨季はリーグワーストの2チームとなっています。このランキングでトップとなったのはロッテ。特にチームで最もマスクを被った田村龍弘が、盗塁阻止率.429とパ・リーグトップの数字を記録しています。バッテリーと走者の駆け引きを楽しみにしているなら、ロッテの関係する試合の方が楽しみが多いのかもしれません。

“荒れる”試合といえば

 次に、点を取り合ったカードを見てみましょう。ここ3年間ではヤクルトvs広島がトップ。両軍合計で15得点以上となった試合数も、同期間では1位の12となり、NPBで最も荒れる確率が高いといえそうです。とりわけ、神宮球場での開催ゲームでは、平均で10.0点。より多くの得点が期待できそうです。
 しかしながら得点を期待するなら、必ずしも広島戦を見に行くべき、とも言いきれません。昨季1年間の広島は、補強や若手・中堅選手の台頭などで、先発・リリーフ陣ともに防御率が3点を切る安定した成績。その結果、“荒れたゲーム”が減少しました。大黒柱の前田健太がメジャーリーグのドジャースに移籍した影響が出なければ……という前提での話ではありますが。
 また、3年間で最も点数を取り合った試合は2014年8月5日のヤクルトvs阪神(神宮)。20対11で阪神が勝利を収めた試合でした。両軍合わせて39安打、ほぼ常にランナーがいる展開で、試合時間は4時間15分となっています。やはり、乱打戦となると試合時間が長くなりがちなのが、ややネックに感じる方もいらっしゃるかもしれません。

気が抜けない投手戦は

 最後に、“投手戦”になりやすいカードを見てみましょう。両チーム合わせて2得点以下の試合数では2カードがトップ。特に西武vsオリックスは今季の開幕カードです。昨季の開幕も同じ顔合わせで、スコアは初戦が1-0、2戦目が2-0と息の詰まる試合となっています(いずれも西武が勝利)。好投手同士の投げ合いで、今季の開幕も接戦になる可能性が大きいでしょう。
 またもう1つが巨人vs広島でした。なんと昨季に限ると両軍合計得点の平均は4.72点。1チームあたりだと、平均して3点を取れていないという数字になりました。
 裏を返せば“お互いに打てていない対決”ということにもなります。ここ2年は貧打にあえいだ巨人。昨季は4年ぶりにリーグ優勝を逃しました。同様に広島もAクラス入りを逃し、雪辱のシーズンとなります。巨人はクルーズ、広島はルナと日本で実績のある外国人を補強。昨季、結果を残した投手陣が成績を維持したまま、得点力を向上させることが出来るのでしょうか。

 最後の投手戦の話に限らず、今回扱ったデータの裏側には、そのチームのウィークポイントが隠されています。新シーズンに向けては各チームが対策を進めているはず。すなわち、それまでのチームの傾向が大きく転換されている可能性もあるということです。2016年はカード別でどのような傾向が出てくるのか、開幕を心待ちにしましょう。