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コラム COLUMN

8年ぶりに復帰した黒田にも天敵が!? 投手の「マッチアップ」で結果を占う

多田 周平

 プロ野球もいよいよ来週からキャンプイン。新シーズンの足音が聞こえてきました。今回は2015年の開幕を迎える前に、興味深いデータを紹介したいと思います。

 それは投手の「マッチアップ」についてです。ピッチャー同士は直接対決するわけではないですが(もちろん打席に立って対戦する機会はありますが)、「投げ合い」という対決があります。今回はその「投げ合い」の中から見つけてきたデータをピックアップしたので、今までとは違う野球の見方として、注目するきっかけになればと思います。

6度も繰り返された対決

 そもそもシーズンでどれだけ同じ投手による投げ合いが起こるのでしょうか。
 14年を例に出すと、レギュラーシーズンの864試合で、投げ合いの組み合わせは722パターン。そのうち114パターンは複数回の対戦があったカードでした。そして特に対戦が多かったのが、右に挙げた5つとなります。

 最も多かった投げ合いは阪神・メッセンジャー-巨人・杉内俊哉の投げ合いで6回。過去10年を振り返ると、シーズンで6度も対決が実現したのはこれが唯一でした。さらに両者はクライマックスシリーズでも激突しており、因縁のマッチアップと呼んでも良いかもしれません。これだけ激突した両者ですが、実は昨季より前には1度も投げ合ったことはなく、偶然とはいえ面白いデータとなっています。

現役唯一!10試合以上も顔を合わせた内海-石川

 1シーズンで対決の多かったマッチアップの次は、この10年間での通算対戦回数に目を向けてみましょう。最も対戦が多かったのは巨人・内海哲也と、ヤクルト・石川雅規の投げ合いで12回。唯一10回以上行われた対決でした。

 試合結果を見ると、最初の6試合は内海が5勝負けなし。通算7度目の対決で初めて石川が勝利し、そこから一気に4連勝しています。内海も途中3連敗を喫しましたが、昨年9月の対戦で4年ぶりに勝利。次回以降の対戦では、再び内海が石川に立ちはだかるか、それとも石川がすぐにリベンジを果たすのか。両左腕の投げ合いは今季も注目です。

開幕戦で10度目なるか!?金子-岸はパ・リーグ屈指の好カード

 内海-石川のように、好勝負が続いている投げ合いは他にもあります。次はオリックス・金子千尋と、西武・岸孝之の対戦に注目してみましょう。過去9度顔を合わせており、これは両者にとって最も対戦が多い相手です。岸は初対戦から3連勝を記録しましたが、以降6試合は0勝2敗で勝利なし。金子の逆襲にあい、白星を挙げることができていません。

 今季の開幕カードでは西武とオリックスが対戦しますが、両者は開幕投手濃厚。通算10度目の対決ではどんな結果となるのか、注目の一戦となりそうです。

田中には勝てるけど、則本には負ける岸

 岸は、金子との対戦以外にも面白い数字があるので取り上げてみたいと思います。それは楽天の「新旧エース」との対決です。まずは田中将大とのマッチアップ。入団1年目に新人王を争った両者の対決は、過去3度実現。07年に新人王を田中に取られた恨み(?)があるのか、岸は田中との投げ合いでは3戦3勝。田中との投げ合いで3勝を挙げているのは岸だけと、1年目の借りを返すような結果が出ています。

 惜しまれるのは、田中が24勝0敗のシーズンを過ごした13年に対戦が実現しなかったこと。もし両者が投げ合っていたら、勢いの田中が勝ったのか、それとも今まで通り岸が勝っていたのか・・・。どんな結果となっていたのでしょうか。

 かつてのエースとの対決では全勝を守った岸ですが、現在のチームの柱といえる則本昂大との対戦では真逆の結果となっており、3戦3敗。岸にとっては田中が抜けた今、則本と投げ合うことは他の投手以上に嫌な対戦と感じているかもしれません。

内海には負けないけど、杉内には勝てない能見

 同じチームの投手で対戦成績が全く異なっている投手が他にもいます。阪神の能見篤史です。

 内海に対しては7戦6勝負けなしという結果でしたが、杉内には9戦7敗で勝利なし。特に「巨人・杉内」との対決に限れば、6戦全敗という一方的な結果となっています。同じ巨人の左腕でも、能見にとってはどっちと投げ合うかは大きな問題のようです。

帰ってきた15番にもいた、勝てない投手

 最後に、今年8年ぶりにNPBに復帰した広島・黒田博樹についても、同じようなデータがあるので触れておきましょう。
 日本通算103勝を挙げている黒田にも嫌な相手がいました。“ハマの番長”こと、DeNA・三浦大輔です。三浦とは過去7度投げ合い、0勝5敗。黒星がつかなかった試合が2回ありましたが、どちらも悔しい結果で勝利を逃しています。

 1999年8月12日の試合では7-1と6点リードした5回裏、本塁打を含む4連打を浴びて3失点。勝利投手の権利目前、というところでマウンドを降りています。さらに2005年4月15日の対戦では、9回まで0点に抑えるも、味方打線もゼロ行進で延長戦へ。10回表も無失点でしのぎましたが、その裏の攻撃で代打を送られ、結局白星をつかめず。三浦との投げ合いでは1勝もできないまま、海を渡りました。今季、黒田と三浦の投げ合いは実現するのか。そしてその一戦はどんな結果となるのか。こういった側面から試合を見るのも、面白いのではないでしょうか。

 投げ合いの結果は、偶然という部分が大きいですが、今回取り上げたマッチアップのように、偏った傾向になる対決もあり、興味深い内容となっています。新シーズンは先発投手のマッチアップにも注目してはいかがでしょうか。