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コラム COLUMN

新戦術「オープナー」を採用する合理的理由

佐々木 浩哉

立ち上がりは難しい

 栗山英樹監督がかねてより公言していた通り、日本ハムは今季から「オープナー」と呼ばれる投手運用を取り入れている。オープナーとは、リリーフを本職とする投手に先発をさせ、1~2イニング程度で降板させて2番手に従来の先発投手をマウンドに送る戦術を指す。2018年にMLBのタンパベイ・レイズが多用したことで話題となり、成果を挙げたことも手伝ってMLBのいくつかの球団に波及し、海を渡って日本球界にも届くに至った。


 この奇策ともいえる戦術のメリットは大きく分けて2つ。その後長いイニングを投げなければならない投手に失点の確率の高い初回を回避させることと、先発投手が打たれるリスクの高まる3巡目を迎えるタイミングを終盤に先送りすることだ。

 「立ち上がりは難しい」という野球界の定説の通り、先発投手の初回の成績は悪い。表1は過去3年間のNPB全先発投手のイニング別の失点率を並べたもので、最も高い失点率を記録しているのが初回となる。緊張感を伴う「入り」の難しさなどメンタル面の影響を要因に挙げる向きも少なくないが、異なる角度から難易度の高さを裏付けることもできる。初回は必ず1番から打順が始まるという事実だ。

 3~5番のクリーンアップに優れた打者を固めるのが一般的な打線の組み方であるため、その少し前を打つ打者、つまり1~3番から始まる回は得点確率や得点期待値が高い(表2)。1~3番のそれぞれの数字には大きな差はないため、この3人の誰から始まっても投手の負うリスクはほとんど変わらない。大事なのは「上位から始まる」ということだ。

 そして初回はひとつの例外もなく1番から始まる(表3)。イニングが進むにつれて数字を下げていき、中盤以降の開始打順は最多でも10%台と、ほぼランダムといっていい傾向を示している。メンタル面の影響はさておいても、以上の事実から立ち上がりが投手にとって難しい環境であることは間違いない。


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