TODAY'S HOT
  • 1977年4月19日 松本匡史(巨人)がプロ初盗塁を記録。(vs.阪神)
  • 2011年4月19日 丸佳浩(広島)がプロ初本塁打を記録。 (vs.横浜)
  • 2007年4月19日 古田敦也(ヤクルト)が通算2000試合出場を達成。 (vs.横浜)
  • 1990年4月19日 秋山幸二(西武)が通算200本塁打を達成。 (vs.ロッテ)
  • 1977年4月19日 斉藤明夫(大洋)がプロ初登板を記録。(vs.ヤクルト)
  • 2012年4月19日 東出輝裕(広島)が通算250犠打を達成。 (vs.DeNA)
コラム COLUMN

現役最年長投手・三浦大輔の投球術 タイムリーdata vol.75

西塚 将喜

 2月のキャンプインを控え、選手の自主トレーニングの話題が増えてきました。その中で注目したのは、毎年恒例となった神奈川県厚木市内での早朝登山を報道陣に公開したDeNAの三浦大輔選手です。今季から球界最年長選手となる中、早くも2ケタ勝利を宣言し精力的にトレーニングに励む姿を見せていました。今回は40歳を超えてもなお、勝ち星を重ねる三浦の投球内容に迫ってみます。

かつての三浦といえば

 三浦のキャリアハイといえば2005年シーズン。最優秀防御率と最多奪三振の2つのタイトルに輝きました。当時の武器はストレート。最高でも150キロに満たない球速でしたが、奪空振り率はリーグ平均よりも高い7.1%を記録し、自身の奪三振のうち過半数を占める球種となっていました。

体力の衰えによるピッチングスタイルの変更

 しかし近年は体力面での衰えは隠せず、年々ストレートの球速が低下。07年には平均球速が140キロを下回り、比例するように奪空振り率もリーグ平均を下回るようになりました。

 その間に三浦は徐々に投球スタイルを変化させています。5年おきに見てみると、ストレートが減少しスライダーやシュートの割合が増加。特にスライダーは4割を超え投球の軸となりました。それだけではなくストレートも微妙に変化させている場合があり、打者を打たせて取ろうとする姿勢がうかがえます。
 また打者を打ち取る意識は高低別の投球割合にも表れます。キレの良いストレートを中心とし、高低の揺さぶりで打者に向かっていた05年から比べると、丁寧に低めを突く投球へと変化。15年は半数近くの46%が低めのゾーンへの投球でした。

三浦大輔の真骨頂

 一方で、以前から変わらない強みもあります。それはコントロール。三浦はここ10年で見た逆球の少なさに代表されるように、球界屈指の制球力を持っています。スタイルの変化を行えたのもコントロールの良さがあってのことでしょう。狙った所に投げる。当たり前のようですがその技術が現在も三浦を支えています。

コントロールの良さが生かされる場面とは

 抜群の制球力を誇る三浦ですが、その力の生かし所は低めに丁寧に集めることだけではありません。三浦の奪三振のうち例年3割前後は見逃しによるもの。とりわけ05年と07年にはリーグで最も見逃し三振を奪った投手となっています。
 全盛期ほどとはいきませんが、三浦は15年も追い込んだ後の見逃しストライク率がリーグ平均以上。球の威力が落ちても数字が平均以上であるのは、打者の裏をかく経験値とマウンド度胸、そして投げきる制球力のたまものでしょう。

 自身の長所を生かし、さらにスタイルチェンジをいとわない姿勢。これこそが現役最年長選手となるまで息を長く続けてきた三浦の秘訣(ひけつ)なのではないでしょうか。今季は工藤公康氏や山本昌氏を抜き、球界最長となる24年連続勝利という記録がかかっています。さらにこれまで積み上げた白星は172。あと数年での200勝も視野に入ってきました。それでも“個人の記録よりもベイスターズで優勝したい”、そんな想いを常々話すハマの番長。果たして、秋に念願の美酒を味わえるのでしょうか。間もなく25年目のシーズンが始まります。