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コラム COLUMN

バントの構えは投手にどの程度影響を与えるのか タイムリーdata vol.56

新家 孝麿

 バントの構えをしてバットを引く。試合中にはよくある光景ですが、この動作が果たしてどのくらい投手の投球に影響しているのでしょうか。その疑問を明らかにするために、今回は一人の投手にスポットを当ててみたいと思います。巨人のマイコラスです。現在はコンディション不良のために登録を抹消されていますが、6月20日の中日戦から8連勝を達成するなど、エース級の働きを見せています。彼がいつ戻ってくるかは、セ・リーグの優勝を占ううえで重要なポイントになるでしょう。(データはすべて8月30日終了時点)

マイコラスの武器

 まず、マイコラスの持ち味はストライクゾーンで打ち取れる球威があることです。ストライクゾーンに投げ込む割合は、NPB平均(46%)を上回る51%を誇ります。そして同ゾーンにおける被打率.223は、日本ハム・大谷翔平に次いで2番目に良い数字。ストライクゾーンに積極的に投げ込めるスタイルが、好投を支えているようです。

コントロールは良い?悪い?

 ストライクゾーンに投げ込めることもあり、現在マイコラスは100投球回以上の投手の中で、トップの与四球率1.52を誇ります。
 しかし、見ているファンとしてはそこまでコントロールが良いイメージはないかもしれません。捕手の構えと反対のコースに投げ込んだ割合を示す逆球率は、NPBで4番目に悪い数字。セ・リーグに限定すればワースト1位になります。ストライクは取れるが、細かいコントロールはない。これがマイコラスを表現するうえで適切なのではないでしょうか。

バントの構えは投手にどの程度影響を与えるのか

 では話を本題に戻しましょう。バントの構えはどのくらい投手に影響するのでしょうか。トータルで見ると、投手はバントの構えをされると、されなかったときに比べて、ストライクゾーンに投げ込む割合は低下するようです。特に走者ありのときが顕著で、バントの構えをされると約5球に4球がボールゾーンへの投球になっています。反対に走者なしの状況では、バントの構えをされても大きな差は見られません。

バントの構えはマイコラスに有効なのか

 ではマイコラスに対して、バントの構えをすることは有効なのでしょうか。実はマイコラスは今季、この動作をされた回数が阪神・藤浪晋太郎に次いで多く、さらに39.1球に1度のペースは40回以上バントの構えをされた投手の中では最短の間隔となっています。バントの構えは投手を揺さぶる目的で多用される作戦ですが、現在最もその対象になっているのがマイコラスなのです。

 しかし、マイコラスに対してその揺さぶりは通用していないようです。前述したようにバント構えをされたときのストライクゾーンへの投球割合は低下するのが普通ですが、マイコラスはむしろ上昇しています。反対に日本ハム・大谷は、バント構えをされると同割合がNPB平均を下回る30%に落ち込むために、有効な手段といえるかもしれません。
 野球にはさまざまな作戦がありますが、相手の特徴や傾向を知ったうえで実行することが大事になってくるのかもしれません。