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コラム COLUMN

山﨑と松井。2人の若き守護神に迫る タイムリーdata vol.36

多田 周平

2人の若き守護神が躍動!

 セ・パ両リーグで若きストッパーの活躍が目立ちます。DeNAのルーキー・山﨑康晃と、楽天の2年目左腕・松井裕樹の2人です。前者はここまで両リーグトップの16セーブを挙げ、チームの快進撃を支えてきました。後者はセーブ数こそ多くないですが、開幕から13試合連続無失点を続けるなど、安定した投球を披露しています。

 今回は2人の若き守護神について迫ってみましょう。

NPBトップクラスの奪三振率!

 両投手の共通点として、奪三振率の高さが挙げられます。松井は昨季もリリーフ時に12.00という高い数字を残しましたが、ここまではそれをも上回る12.18をマーク。山﨑も松井ほどではないですが、セ・リーグの抑えではトップです。
 では、ここからはそれぞれの投球について目を向けてみます。

走者を出さない山﨑

 山﨑の優れている点はランナーを出さないところです。1イニングあたりに何人の走者を出したかを示すWHIPという指標で、0.81と低い数値をマークしています。

 特筆すべきはフォアボールの少なさで、22試合の登板で与えた四球は5。特にイニング先頭打者に対しては与四球0と、無駄な走者を出さない投球を続けています。

ボール球を振らせるツーシームの威力

 与四球の少ない山﨑ですが、コントロールが抜群というわけではなさそうです。ストライクゾーン内への投球割合は、NPB平均を下回る42.2%。他球団の抑え投手に比べても低い数字です。

 それでも四球を与えていない理由は、ボールゾーンの球を振らせているという点にあります。山﨑のボールゾーン被スイング率は40%台で、NPBトップクラス。特に威力を発揮しているのが、いまや代名詞ともいえるツーシームでしょう。同球種のボールゾーンスイング率は57.0%を数えており、この落差の大きいボールを振らせることで、打者を抑え込んでいるようです。同球種では被打率も1割台と圧倒的。他にもナックルを秘めているという山﨑ですが、今後もツーシームを武器にアウトを積み重ねるでしょう。

四球は多いがヒットは少ない松井

 四球が少ない山﨑とは対照的なのが松井のピッチング。与四球率は12球団の抑え投手で最も悪い4.76です。先述のストライクゾーン割合でも、NPB平均より低い数字となっており、制球面では苦しんでいます。

 そんな松井ですが、ヒットを打たせていないことは特筆すべき点でしょう。ここまで被打率は.138と抜群。特に得点圏で11打数1安打に抑えていることが、開幕から無失点投球を続けられた要因となっています。

当てさせないチェンジアップ

 打たれていないどころか、松井の場合はバットに当てさせていません。ストライクゾーンの被コンタクト率を見ると、松井は76.5%を記録。これは数字が低ければ低いほど、打者がスイングした時に空振りを奪っていることになります。特に威力を発揮しているのがチェンジアップで、同球種のストライクゾーン被コンタクト率は60.8%と、相手にとっては当てることも難しいようです。同球種は被打率も0割台と、この決め球の威力が松井を支えています。

 両投手には共通の目標として、シーズン30セーブに期待しましょう。今年の10月に23歳を迎える山﨑と、20歳になる松井。シーズン中に30セーブをクリアすれば、従来の最年少記録を更新することとなります。

 若い守護神はNPBの歴史を見ても希少な存在。そんな中で役割を全うし続ける山﨑と松井。彼ら2人がどんな結果でシーズンを終えるのかを今後も見守っていきたいです。