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コラム COLUMN

次の魔球?ナックルカーブの正体

佐々木 浩哉

 黒田博樹の「ツーシーム」や田中将大の「スプリット」など、野球界では目新しい変化球が次々と話題に上ります。こうしたあまり聞きなじみのない(なかった)名称の変化球はアメリカから輸入されたものが比較的多いのですが、“次の魔球”として話題となりそうな気配を見せている変化球があります。「ナックルカーブ」です。

 ナックルカーブの大きな特徴は、名前の由来となったその独特な握り方にあります。いわゆるカーブの握りから人さし指だけ縫い目にかけ、ボールを放す瞬間に人さし指を強くはじいてリリースします。ゆらゆらと不規則に変化するナックルは人さし指・中指・薬指などを立てて握るのが一般的ですが、ナックルカーブの場合立てるのは人さし指だけで、ボールの変化はナックルとは異なります。軌道としてはカーブやスライダーなどのいわゆる「曲がる系」に分類される球種となっています。

 ここからは一般的なカーブとの比較から、ナックルカーブの特徴を見ていきましょう。

ナックルカーブの特徴

意外と多い?


 今季、ここまで投じられたナックルカーブは472球。カーブは2341球なので、だいたい1:5くらいの比率で投げられていることになります。この数はスプリット(414球)より多く、シンカー(565球)よりも少ない数です。スタジアムなどで見ていても「あ、ナックルカーブを投げているな」とはなかなか判断が付かないですから、印象よりも多く投げられているなあ、と感じる方もいるかもしれません。


スピードがある


 ナックルカーブの平均球速は122.1キロで、カーブよりも平均して8キロ以上もスピードが出ています。スライダーの平均球速が126.7キロなので、カーブよりもむしろスライダーに近い球速帯です。投手によっては130キロ台のナックルカーブも珍しくないほどです。これにはナックルカーブの使い手が、どちらかというと速球派に分類される投手が多いことも影響しているようです。


決め球になる


 ストライクカウントを稼ぐボールとしてよく使われるカーブとは配球傾向が異なり、ナックルカーブは決め球にもよく用いられます。被打率も.182ととても優秀で、これはスプリットの被打率.179に迫る水準です。投手によってはカーブを決め球に使う投手もいますが、ナックルカーブを持ち球とする投手はその傾向がより強いということがいえます。


空振りが取れる


 決め球の項目にも関連するところですが、ナックルカーブは空振りの取れるボールです。比較的バットに当てやすいカーブとは違って、高速でカーブの軌道を描くナックルカーブは打者の目を惑わせる効果があるようです。12.9%の奪空振り率はスライダー(10.7%)やカットボール(9.8%)以上で、決め球として使われるのも納得できる数字となっています。

ナックルカーブの使い手

 現在、確認できているナックルカーブの使い手は両リーグ合わせて16人います。中でもディクソン(オリックス)は投球の3割以上をナックルカーブが占めていて、代表的な使い手となっています。右のリストを見ると明らかなように、ナックルカーブの使い手は外国人投手であるケースが多い傾向にあります。五十嵐亮太(ソフトバンク)もアメリカ時代にこのボールを習得し、日本復帰後から主要球種として用いるようになりました。

 かつてセーブ王にも輝いた元オリックスの加藤大輔など、過去にもナックルカーブを使う日本人投手は存在していました。ところが独特な握りということもあってか、イロモノとして取り上げられることはあっても「使える球種」として注目を浴びることはあまりありませんでした。

 こうして数字を取り上げると分かるように、ナックルカーブは投手にとって大きな魅力のある球種です。ディクソンから手ほどきを受けた平野佳寿(オリックス)がピッチングに取り入れた例のように、日本人投手の間でも習得にチャレンジするケースが増えてきました。なかなかマスターの難しい特殊な握りの“魔球”ですが、昨今の変化球ブームを受けてプロ野球界、あるいはアマチュア球界などでも広まっていくかもしれません。


※文中、表中のデータは2015年4月22日現在