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コラム COLUMN

ボールが飛ばない!?囁かれる噂を検証

新井雄太・林香輝

※使用しているデータはすべて2015年4月12日終了時点

 開幕から各チームとの対戦が一巡しました。セ・リーグでは昨季Bクラスに沈んだ3チームが予想外の活躍でリーグを盛り上げています。パ・リーグでは優勝候補との呼び声が高かったオリックスがまさかのスタートダッシュに失敗。波乱の幕開けとなっています。
 そんな中で囁かれているのは本塁打の少なさです。ジョンソンが来日初登板で準完全試合デビューを飾ったり、ヤクルトが開幕から14試合連続3失点以下の日本記録を達成するなど、守りの面では大きな話題が生まれる半面、バッティングの方は全体的に穏やかな印象を受けます。統一球導入当初をふと思い出す方もいるのではないでしょうか。

本当に本塁打は減っている!

 実際に本塁打はどのくらい減っているのでしょうか。まずはここ10年の本塁打数と比べてみましょう。過去の本塁打数を見る限りでは1試合に1本以上のペースで本塁打は出ていたようです。ところが今季はここまで1試合1本以下のペースになっています。統一球導入当初の2011、12年でさえも1試合1本以上のペースであったことを考えると、どれほど少ないかが実感できるかと思います。

ロースコアゲームから延長戦が大幅増


 実際に本塁打が減っていることで、今季の試合にも思わぬところで影響が出ています。まずはここまで延長戦に突入する割合が17%と非常に多くなっています。これは1日に6試合行われている場合、およそ1試合は延長戦に突入している確率です。これは本塁打が減ったことにより、チームの得点にも大きく影響を及ぼしていて、必然的にロースコアのゲームが多くなっていることを物語っています。

入ったと思う打球がスタンドまで届かない!?

 ここからは打球そのものに注目して検証してみます。フェアゾーンに飛んだ全打球のうち、外野フライになった確率はやや下がっています。しかし、それ以上に外野へのフライがどの程度本塁打になったかを示すHR/OFという指標では、昨季と比べて約半分ほどのペースに落ち込んでおり、本塁打になる確率が低いことが分かります。打った瞬間に本塁打と感じた打球が思ったよりも伸びないといった主観的な印象も、あながち間違いではないのかもしれません。

 本塁打の減少だけでなく本塁打の平均飛距離も、昨季と比べるとやはり短くなっています。これはヤクオクドームに新しく設置されたホームランテラスの影響も少なからずあるとは思いますが、こちらも気になるデータといえるでしょう。

ホームランバッターが大量離脱中


 最後に別の影響の可能性についても触れておきたいと思います。というのも昨季、本塁打を量産した選手の多くが故障などに苦しみ、そもそも試合に出場していないケースを考えなければなりません。
 昨季セ・リーグ本塁打王に輝いたエルドレッド、シーズン60発の本塁打記録を持つバレンティン、オリックスに移籍したブランコなど多くの外国人スラッガーが故障などで戦列を離れています。日本人打者でも2000安打を目前とする和田一浩の状態がなかなか上がらないようで、一軍登録を見送られ続けています。
 昨季、本塁打率が優秀だった打者を並べてみると、一軍にいなかった選手が多いのは一目瞭然です。


 上記の例は昨季の優秀なスラッガーだけでなく、2015年から加入した選手たちも同様です。特に外国人打者の出足が悪く、打撃不振や故障離脱の影響が大きそうです。サンチェスは打撃不振で開幕早々に登録を抹消され、一軍復帰後もなかなか調子が上がってきていません。グスマンは高い打率を残すなど好調な様子でしたが左脇腹を痛め、来日初本塁打を打つ前に離脱してしまいました。このようにチームの主軸を担うはずだった大砲役がなかなか結果を残せていないことも大きな要因といえるでしょう。

 もっと根本的な話としては、そもそも3~4月は例年本塁打が少ないということです。ここ10年分の本塁打率を見ても3~4月の本塁打ペースは5~8月よりも低いことがわかります。開幕直後は新外国人やルーキーなど打者にとって初対戦の投手が多く、投手有利の試合が多いことも影響していると考えられます。

 今回の検証はシーズンのわずか10分の1程度しか消化していない時点での内容なので、サンプル不足の感は否めません。この状況が一過性のものであることも十分に考えられます。少し心配になってしまう気持ちもありますが、今後の状況を注意深く見守っていきたいと思います。