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コラム COLUMN

松坂世代のこれまでと、これから タイムリーdata vol.26

佐々木 浩哉

 松坂大輔を中心とする「松坂世代」。高校、大学、社会人と様々なステージで目覚ましい活躍を見せた彼らは、次々にプロ入りを果たして球界で一大勢力を築きました。松坂が西武ライオンズに入団し、衝撃的なデビューを飾ってから今年で17シーズン目を迎えます。松坂世代が残してきた軌跡を、主役が国内復帰を果たしたこのタイミングで振り返ります。

松坂大輔の歩みに合わせて

 松坂世代の選手で、プロ野球選手としてプレーしたのは17シーズンでのべ799人に上ります。最盛期の2006年には68人を数え、幾人もの選手がチームの中心選手として活躍しました。松坂の渡米前ラストシーズンもこの年にあたり、ドラフト制導入後史上最速となるスピードで通算100勝をマークしています。世代のトップランナーの活躍に合わせるように、同世代の選手たちが右肩上がりで増えていったことがよく分かります。

 松坂世代が最も多く入団したのが2003年のシーズンでした。大学卒業のタイミングで入団する選手が多く、高校卒業時を上回る34人が同時にプロの門を叩いています。和田毅(当時ダイエー)、新垣渚(同)、村田修一(当時横浜)、木佐貫洋(巨人)、館山昌平(ヤクルト)、加藤大輔(オリックス)などがこの時期にプロ入りしています。

 その後も社会人でプレーしていた選手たちの入団が続きますが、転機を迎えたのが2007年のオフでした。一気に11人がプロの舞台を去り、既に20代後半を迎えていた松坂世代のプロへの流入も遂に枯渇していきます。世代最後のドラフト入団は2009年の森田丈武(楽天)。独立リーグを経ての育成ドラフト1位指名でした。

 この頃になると松坂世代の10年選手も増え、プロ生活を終える選手が自然と増えていきます。松坂の後を追うように和田(ソフトバンク=2011年退団)、藤川球児(阪神=2012年退団)もアメリカへ渡り、ダルビッシュ有や田中将大に代表される若手の成長に合わせて世代交代が進んでいきます。9年ぶりに日本球界へ復帰した松坂が目にしたのは、自身を含めて27人まで減った同世代の選手たちでした。

松坂世代は投手世代?

 松坂世代の特徴として、投手のレベルが非常に高いことが挙げられます。松坂を筆頭に杉内俊哉、和田、藤川、館山、久保康友、新垣などタイトルホルダーの投手に枚挙の暇がありません。一方の打者は二度の本塁打王を獲得した村田が目立つくらいで、どちらかというと主役を脇から支える玄人好みの選手が多い傾向にあります。

 これはデータにも顕著に表れていて、世代合計のRSAA(Runs Saved Above Average=平均的な投手に比べて防いだ失点を表す指標)、RCAA(Runs Created Above Average=平均的な打者に比べて生み出した得点を表す指標)の両指標は対照的な結果を示しています。RSAAは例年とても優秀で、2005年には+179.8という数字をたたき出しています。松坂(+44.0)や杉内(+46.9)などの活躍はもちろん、対象選手の半数以上がプラス(14/24人)を計上するなど優良投手の見本市のような一年でした。

 RCAAはマイナスのシーズンが多く、少なくともバッティングに関しては目立つことの少ない世代と言わなくてはいけません。ただ2007年は例年になく好調で、初の本塁打王を獲得した村田(+29.3)をはじめ、森本稀哲(+12.1)や矢野謙次(+6.9)、竹原直隆(+3.2)などが良い数字を残しました。

 大成した世代の投手たちの実績を見るに付け、大器として期待された古木克明(元横浜、オリックス)、吉本亮(元ダイエー、ソフトバンク)などがスラッガーとして遂に覚醒を果たせなかったのは残念と言えば残念でした。

ベテランの矜持

 松坂世代の選手たちは今年で35歳のシーズンとなります。故障を抱えた選手も多く、万全の状態でシーズンを過ごせる選手の方が少ないであろうことも予想されます。主役の松坂もオープン戦で手探りのピッチングが続いた上に、インフルエンザの影響で出遅れることになりました。打の主役の村田も不振続きで、開幕前に二軍落ちを経験するなどレギュラーを確約された立場ではありません。

 ただ、それでも。実績と経験を積み重ねてきた、黄金世代の力が必要となる時は必ずやってくるはずです。かつて栄光を欲しいままにしたベテランたちの、プライドをかけたシーズンが始まります。