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コラム COLUMN

松坂大輔が日本球界復帰! 球種から見える変化とは? タイムリーdata vol.10

新井 雄太

 平成の怪物・松坂大輔のソフトバンク入団が決まりました。日本球界復帰は2006年以来9年ぶりになります。

 高校時代から大きな注目を集めた松坂はドラフト1位で西武に入団。1年目から最多勝に輝くなどすぐさま実力を発揮し、3年目の01年には早くも沢村賞を獲得。その後の輝かしい実績はプロ野球ファンの誰もが知ることかと思います。
 メジャー移籍後は1年目からワールドシリーズ優勝に貢献するなど、幸先は良かったのですが、その後は不振や故障に苦しむ時期が長く続き、なかなか本来の力を発揮することができませんでした。特にここ数年、メジャー時代の登板をじっくり見てきた方々は少ないのではないでしょうか。

 今回のタイムリーdataでは西武時代のピッチングからメジャー時代にかけての球種の変化を、松坂と同じように日本球界に復帰した選手のデータを交えながら振り返ってみたいと思います。

渡米前とは別人!?

 2002年から14年までの球種別の投球割合をグラフ化してみました。
 渡米前の02年から06年まではストレートとスライダーが投球の大半を占めていることが分かります。この期間の球種割合についてはほとんど変化がありませんでした。しかし、決して使える球種が少なかったわけではありません。当時の松坂は150キロ台の直球と得意球のスライダーで打者を抑えられていて、ほかの球種に頼らなくても当時の国内では十分活躍できたのでしょう。

 07年からレッドソックスに活躍の場を移しますが、ここでも最初の2年間は渡米前とほとんど変わりありません。変化が訪れるのは09年ごろで、ツーシームの割合が増え始めます。その後もカットボールやチェンジアップの割合も徐々に増えていきます。反面、渡米前に多かったストレートとスライダーは減っていき、だんだんと球種のバランスが変わっていきます。
 最も大きな変化があったのは13年。メッツに移籍するとそれまでほとんど投げることのなかったカーブを多投するようになり、かつて剛腕だったイメージとの相違から日本でも話題になりました。ストレートの割合はついに40%を下回り、複数の変化球をバランスよく投げる技巧派投手のようなスタイルに変わりました。

 環境の変化や年齢を積み重ねるにつれ、投球スタイルが徐々に変化することはよくある話であり、松坂もその例外ではなかったということでしょう。

松坂以上にスタイルが大きく変わった投手

 実際にメジャーから日本球界に復帰する投手の中には、まるっきりスタイルが変わった投手もいます。その最たる代表例が松坂の同僚になるソフトバンクの五十嵐亮太です。

 2004年から14年まで(国内のみ)の球種別の投球割合をグラフ化してみました。
 ヤクルト時代には最速158キロの剛速球と高速で落ちるフォークで三振の山を積み上げ、松坂以上に球種の偏りが強い絵に描いたような剛腕投手でした。
 ソフトバンクに入団してからも武器である速球と、三振を奪う能力に変わりはありませんが、投げる球種はガラリと変化します。ヤクルト時代にはほとんど投げなかったカーブが投球の30%以上を占めており、次いで多いのがカットボール。かつての決め球であるフォークは現在ではほとんど投げる機会はありません。

 松坂と違いリリーフひと筋の投手なのでシンプルに比べられない部分もありますが、これほどまでに大きく変わるケースもあるのです。

2015年のソフトバンク・松坂はどうなる?

 これまでの話を総合すると、おそらく松坂は渡米前とは異なる2014年の投球スタイルに近い形で来季に臨むことが予想できると思います。

 松坂自身も5日の会見の場で、対戦する他球団の主力が様変わりしていることに対して
「(投球スタイルが)若い時から一緒ではないと思っています。最初の日本の8年とは違う形になる」
と来季に向けた投球スタイルについてコメントしています。

 メジャー最終年のように多彩な変化球を駆使した投球スタイルを見せてくれるのか、渡米前ともメジャー時代とも異なる新たなスタイルをこれから作り上げていくのか。いずれにせよ、来季の注目の的であることは間違いなさそうです。