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コラム COLUMN

ヤクルトの打撃3部門タイトル独占はなるか? タイムリーdata vol.61

伊丹 雄斗

 昨日の試合に勝利し、ついに優勝マジック3が点灯したヤクルト。ここまでの快進撃は、チーム最多の13勝を挙げている石川雅規を筆頭に投手陣の活躍は欠かせない部分ですが、やはりリーグ最多得点を誇る打撃陣の働きが大きな要因でしょう。その強力打線の中でも、打率・本塁打・打点のいわゆる打撃3部門でトップに立つ3選手の活躍が目覚ましいところ。打率.334の川端慎吾、37本塁打の山田哲人、103打点の畠山和洋です。今年は、彼らヤクルト勢がタイトルを独占しようとしています。

 過去のセ・リーグで打撃3部門タイトルを同一球団の異なる選手が獲得したシーズンはありません。またパ・リーグや1リーグ時代を含めてもこのようなケースはなく、もし川端と山田と畠山がそれぞれタイトルに輝けば、NPB史上初の「同一球団の異なる選手による打撃3部門タイトル独占」となります。(文章内のデータはすべて9月27日終了時点)

打撃3部門タイトル独占に近づいたチームは?

 打撃3部門タイトル独占に近づいたセ・リーグのチームと打者をまとめたものが上の表です。3タイトルのうち2つは同一球団の選手が獲得し、1つを他球団の選手が受賞したケースは過去9度ありました(同一球団の同選手が二冠または三冠を獲得したケースは除きます)。

 その中で、最も惜しかったのが07年のヤクルトでしょう。この年は青木宣親が自身2度目の首位打者に輝くと、シーズン204安打を放ったラミレスは2度目の打点王を獲得。そして、チーム最多の本塁打を放ったのがガイエルでした。シーズン2試合を残した時点で35本塁打と、トップの村田修一(現巨人)に1本差で横浜(現DeNA)2連戦に挑んだガイエル。しかし、そのバットからアーチは生まれず、本塁打王を逃しています。

データから見る、3選手の特徴とは?

 球史に新たな歴史を刻もうとしている3選手ですが、ここからは各自のデータを見てみましょう。まずは川端です。川端はボールをバットに当てる能力が優れており、今季のコンタクト率89.4%はリーグ規定打席到達者で2位の数字。ストライクゾーンはもちろん、ボール球でも空振りをする姿をほとんど見ない打者です。そのバットコントロールのうまさを生かし、自身初の首位打者を狙います。

 昨季29本塁打を放つなど長距離砲の素質を見せていた山田は、今季さらなる飛躍を遂げました。彼の打撃成績を高低別に分けると、高めに強いハイボールヒッターである事が分かります。本塁打はリーグ最多の17本を記録。さらに真ん中の12本もリーグトップの本数で、低めの8本はロペス(DeNA)と並んで同トップタイと、どの高さのボールも本塁打にする魅力の持ち主です。

 最後は、打点王を狙う畠山です。先に紹介した川端と山田が上位打線を任されている事もあり、主に4番に座る畠山は好機で打席が回る機会が多い選手。今季は彼の打席で計398人の走者がいました。中でも、三塁に走者を置いた打席は84回。ヒットはもちろん、外野フライや内野ゴロでも打点を稼げるシチュエーションに恵まれています。畠山はこの状況で打率.391を残し、55打点を記録しました。


 シーズン残り試合を考えると、山田の本塁打王と畠山の打点王は決定的といってもいいでしょう。首位打者を狙う川端は、4厘差で2位につけるライバルが同僚の山田という状況は、ファンとしても複雑な心境かもしれません。
 また、今回紹介しなかった安打数は川端、出塁率と盗塁で山田が現在トップと、文字通りの「打撃タイトル独占」を達成する勢いのヤクルト。激しい優勝争いが繰り広げられる中、個人タイトル争いの結末にも注目です。