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コラム COLUMN

対左右別xFIPで投手の得意・苦手を知る

山田 隼哉

対戦相手に応じて選手起用を考える

 野球の選手起用においてはしばしば、“相性”というものが重視されます。

「このバッターはこのピッチャーを得意としているから、今日はスタメンで使おう」
とか、
「このバッターはこのピッチャーを苦手としているから、今日はスタメンから外そう」
といった具合です。

 実際に、相性の良さを買われて起用された選手が活躍することは少なくありません。それが試合の結果を左右したり、ポストシーズンにおいてはシリーズの行方まで左右したり、なんてことも過去にはあったかもしれません。

 海の向こうMLBでも、オークランド・アスレチックスがダルビッシュ有(テキサス・レンジャーズ)に対して左打者をずらりと並べた打線を組み、ダルビッシュの投球を見事に攻略しているという話題は、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 このように、対戦する相手に応じて適切な選手起用を行うことは、時に非常に有効な戦術となります。チームが持ち合わせている戦力を、最大限に活用することにも繋がるでしょう。

 では、今シーズンのNPBにおいては、選手たちの間にどのような相性が出ているのでしょうか。ひとりひとりを見ていくと膨大な量になってしまうので、今回はシーズン通算で80イニング以上投げている投手を対象に、対左打者・対右打者の相性を見ていきたいと思います。

何をもって“相性が良い”とするか

 どうやって相性を判断するかについては、いろいろと方法が考えられますが、今回は「xFIP」というセイバーメトリクスの指標を用います。簡単に説明すると、これは「FIP」という指標を改良したもので、奪三振・与四球・被本塁打の要素をもとに算出される指標です。野手の守備力や球場の広さなど、環境面の影響を排除しているため、投手の純粋な能力を評価できるとされています。また、防御率と同じように、数値が低いほど点を取られづらい投手であることを意味します。

 対左打者・対右打者のように、xFIPを条件別で求めることはあまり一般的ではありませんが、打者をアウトにした数をイニングに換算することで、算出が可能になります。対左右別のxFIPが示すおおよその意味としては、左打者または右打者のみと対戦し続けた場合に、9イニングあたり何点取られるか、といったところでしょうか。何点取られるかが分かれば、単純にヒットを打たれる確率だけではなく、四球を与える確率や本塁打を打たれる確率も含めた、打者との総合的な相性を判断することができるはずです。

 では、実際のデータを見てみましょう。

左打者でも右打者でも攻略が難しい投手

 これは、各投手の対左右別のxFIPをグラフ化したものです。縦軸が対左打者のxFIP、横軸が対右打者のxFIPを示していて、左投げの投手は青いプロット、右投げの投手は赤いプロットで表されています。プロットの位置が上に行くほど左打者に強く、右に行くほど右打者に強いことを意味します。プロットエリア中央でクロスしている青線は、対左右それぞれのNPB平均値です。

 まず注目したいのは、金子千尋(オリックス)、大谷翔平(日本ハム)、則本昂大(楽天)、メッセンジャー(阪神)の4投手です。右上のエリアに位置するこの投手たちは対左打者、対右打者ともにxFIPが3.00を下回っていました。左右どちらに対しても相性が良く、目立った弱点がない投手と言えそうです。相手チームにとっては残念ながら、スタメンに左打者を並べたり、右打者を並べたりするような戦術はあまり意味を成さないでしょう。

左が苦手なスタンリッジ、右が苦手な攝津

 次は、対左打者と対右打者でxFIPの差が大きい投手を何人かピックアップします。この投手たちは、スタメンに左打者を並べたり、右打者を並べたりするような戦術が、比較的有効である可能性が高い投手たちです。

 対象投手の中で、対左右の差が最も大きいのはスタンリッジ(ソフトバンク)でした。右打者に対しては2.95と好相性ですが、左打者に対しては4.64と相性の悪さが出ています。
 これと逆の傾向を示しているのが、同じくソフトバンクの攝津正です。攝津は左打者に対しては3.59と平均レベルですが、右打者に対しては5.01と数値が大幅に悪化します。
 9月2日、3日のソフトバンク対オリックス戦で、オリックスがスタンリッジに対して左打者の坂口智隆、攝津に対して右打者の川端崇義をスタメンで起用していたのは、上記の傾向を意識した采配だったのかもしれません。

 ほかにも、右打者には相性が悪い一方で、左打者に対しては対象投手の中で最も優秀な数値を残している能見篤史(阪神)や、前田健太(広島)、内海哲也(巨人)などは、対戦する打者の左右によって期待できるパフォーマンスの差が大きい投手と言えます。先ほどオリックスの例のように、こういった投手たちに対し、相手チームがどのような選手起用を行っているのかも、注目すべきポイントのひとつではないでしょうか。

相手の特性を的確に把握する

 NPBでは、スタメンに左打者または右打者をずらりと並べるような大胆な戦術はあまり見られませんが、あるポジションで同じくらいの打力を持った2人の選手が、対戦相手に応じてスイッチしながら起用されるといったケースはよく見かけます。

 その際に、今回紹介したようなデータは少なからず参考になるはずです。多くの場合、右投手は左打者を苦手とし、左投手は右打者を苦手としますが、攝津のように右投手でありながら、左打者よりも右打者の方が苦手、という投手も中にはいるからです。

 対戦する相手に応じて適切な選手起用を行うにはまず、相手の特性を的確に把握する必要があります。このあたりは、各チームの手腕が問われる部分なのかもしれません。