TODAY'S HOT
  • 2003年3月29日 永川勝浩(広島)がプロ初セーブを記録。(vs.ヤクルト)
  • 2008年3月29日 林昌勇(ヤクルト)がNPB初セーブを記録。(vs.巨人)
コラム COLUMN

サファテのストレートは藤川を超えた!? タイムリーdata vol.57

小林 展久

 ソフトバンクの守護神・サファテの奪三振が止まりません。8月2日の西武戦で、29イニング連続奪三振のNPB新記録を樹立。その後も三振を奪い続け、9月6日の段階で記録を41まで伸ばしています。今回のコラムでは、今季のサファテの三振と、その生命線であるストレートについて紹介します。(※データは9月6日終了時点)

大魔神・佐々木に比肩する奪三振率

 まず、今季のサファテの奪三振率がいかに高いかを見ておきましょう。NPBの歴史でシーズン奪三振率が1、2位の選手は、フォークを武器に多くの三振を奪った「ハマの大魔神」・佐々木主浩です。その佐々木が1997年に記録した歴代トップの奪三振率14.85を、現在のサファテは上回っています。では、なぜ2015年のサファテは大量の三振を取れるようになったのでしょうか?

来日5年目にして球速が向上

 故障に悩まされ力を発揮できなかった2012年を除けば、いずれの年も高い奪三振率を残しているサファテですが、今季は過去の4年間と比較しても高くなっています。その一因として考えられるのが、投球の70%以上を占めるストレートの変化でしょう。平均球速が前年より2キロ速くなり、34歳にして球威の向上が見られます。加えて昨季より10ポイント割合の増えたカーブで緩急をつけていることも、ストレートをより速く見せているのかもしれません。今季のストレートの奪空振り率はNPB平均(6.4%)の3倍以上。これはフォークなどの空振りを取りやすい変化球と遜色ない数値となっています。

圧倒的な奪空振り率を誇る藤川とサファテの直球

 サファテのように空振りの取れるストレートで一時代を築いた投手といえば、藤川球児ではないでしょうか?過去10年間のストレートの奪空振り率を見ると、藤川の名が上位4つを独占。やはり「火の玉ストレート」の威力は凄(すさ)まじいものがあります。そして今季のサファテは、全盛期の藤川をもしのぐ空振りの取れるストレートを投げているのです。

両者のストレートに共通する特徴

 近年のNPBでツートップといってもいい奪空振り率を誇る両者のストレートですが、他にも共通点があります。15年のサファテのストレートと、藤川がストレートで最も高い奪空振り率を記録した06年を比較してみると、特に高めで威力を発揮することが分かります。藤川のストレートはこちらのコラムでも紹介されているように、ホップ方向の変化量が多く一般的なストレートよりも落ちてこない、いわゆる“伸び”のあるボール。サファテのストレートも同じ性質を持っている可能性は十分考えられます。しかも、平均球速は藤川より4キロほど速く、打者にとって非常に攻略の難しいストレートといえるでしょう。

 ソフトバンクは現在7割近い勝率で首位を独走し、優勝へのマジックを12としています。その原動力の1つが、09年から7年連続でチーム防御率1位と抜群の安定感を誇るリリーフにあるといえるでしょう。その救援陣にあって、圧倒的なパフォーマンスを披露し続けているサファテ。鷹の守護神のピッチングからは、これからも目が離せません。