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コラム COLUMN

オールスターで生まれた好記録・珍記録 タイムリーdata vol.48

多田 周平

 今週17、18日にオールスターゲームが行われます。今年は17日に東京ドーム、18日はマツダスタジアムで開催される夢の球宴。今回は過去のオールスターで生まれたさまざまな記録について振り返ってみたいと思います。

記念すべき第1回はいまだ破られない最多観客数!

 日本では1951年から始まったオールスター。記念すべき第1回は、7月4日に甲子園で行われました。日本で初となる試みに注目が集まったのか、この試合の観衆は48671人。これは半世紀以上たった今でも、史上最多の数です。ちなみに試合は全セが2-1で勝利し、栄えある初代MVPには巨人・川上哲治が輝きました。

球宴史上唯一の“劇的すぎる”一打

 第1回に続く観客数を集めたのが、74年の第1戦(後楽園)で、球宴史上唯一の記録が生まれているので紹介したいと思います。この日の主役は、11年目で初めてオールスターに選ばれた阪急・高井保弘。当時は代打での出場がメーンで、同年の6月に代打での通算本塁打の日本記録を塗り替えたスペシャリストです(当時14本目。生涯通算27本まで伸ばす)。その「代打男」は1-2で迎えた9回1死一塁で登場。ヤクルト・松岡弘の2球目をとらえた打球は、左中間スタンドに突き刺さる“逆転サヨナラ”の一打となりました。

 オールスターではこの試合を含めてサヨナラゲームが12度ありましたが、「逆転」の肩書がつくサヨナラ打を放ったのは高井だけ。シーズン同様、ひと振りにかける抜群の集中力を大舞台でも遺憾なく見せつけました。

9者連続奪三振と、伝説の再現

 高井のような記憶に残るひと振りを見せたピッチャーがいます。71年の第1戦(西宮)で先発した江夏豊。江夏は2回に、自ら追加点となる3ランを放ちました。投手の本塁打は中日の巽一以来で11年ぶり2人目の記録(どちらも打たれた投手が阪急・米田哲也)。そしてご存じの方も多いと思いますが、この試合で9者連続奪三振の偉業を達成します。

 ちなみに3回で9三振を喫したパ・リーグはこれで気落ちしたか、後続の投手も打てず、セ・リーグ投手陣の前にノーヒットノーランを許したことも付け加えておきます。
 そして江夏はこの9年後の80年に、またしても記憶に残るピッチングを見せています。後楽園での第1戦、1点差に詰め寄られた9回無死満塁のピンチで登板し、3者連続三振に抑えたのです。前年の近鉄との日本シリーズで、「江夏の21球」という9回の伝説的なピッチングがフィーチャーされましたが、この試合はその再現ともいえる快投でした。

“お祭り男”清原が残した記録

 投手で印象的な活躍が目立ったのが江夏ならば、打者では清原和博でしょう。MVPに輝いた回数は通算7度。その次に多い選手たちが3度なので、清原の断トツぶりがうかがえます。清原は他にも通算打点(34)を始め、通算得点(26、福本豊とタイ)、通算打率(.365、100打席以上で落合博満とタイ)も歴代トップ。そして清原らしい記録では、通算三振(40)も歴代最多。最後の出場となった2006年第2戦(宮崎サンマリン)での、藤川球児との全球ストレート勝負を覚えている方もいるのではないでしょうか。

投手・イチロー、代打・高津

 清原が5度目のMVPに輝いた1996年の第2戦(東京ドーム)。清原以上にインパクトを残したのがオリックス・イチローでした。打席では3打数ノーヒットと快音を残せず、球宴での連続試合安打が5でストップ。しかし9回表、2死走者なしで打者・松井秀喜(巨人)という場面で、ライトからマウンドに向かい、ピッチャーとして登板。球宴で、野手から投手となった選手はイチローだけです。イチローvs松井が期待されましたが、セ・リーグの野村克也監督は、代打にヤクルト・高津臣吾を送っています。

 この投手の代打は球宴史上8人目(11度目)でしたが、現時点ではこれが最後です。注目すべきは3度も代打で起用された金田正一。69年には弟・留広との兄弟対決も実現しました。ちなみに金田は、本職のピッチングでも盛り上げています。通算奪三振は江夏を上回る84個で、通算被本塁打も最多の6本。抑えても打たれても、そして打席でも画になる選手といったところでしょう。

 今年は日本ハム・大谷翔平が史上2人目となる投手と野手の両方でファン投票選出されるなど、すでに話題十分。どんな記録が誕生するのか注目です。