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コラム COLUMN

ストレートだけじゃない!?大谷の変化球に迫る! タイムリーdata vol.39

小林 展久

驚異的な奪三振能力を誇る大谷

 2015年は開幕から7連勝と、13年の田中をほうふつさせる活躍を見せている日本ハム・大谷翔平。課題だった四球の多さは克服しつつあり、もともと低かった被打率も減少の一途をたどっています。プロ3年目にして、日本屈指の投手に成長したといっても過言ではなくなった大谷。そんな彼の最大の武器が最速160キロを超えるストレートにあるのは間違いないですが、今回の記事では彼の類いまれな奪三振能力に注目し、どの変化球が武器となっているかを検証していきます。(データは全て2015年6月2日終了時点)

絞り込まれた持ち球

 1年目の大谷は多彩な球種を投げていましたが、得意とするスライダー以外は投げ分けているというよりも軸となる球種を探している印象でした。しかし、2年目はフォークの割合が10ポイント以上も上昇。今季はさらに5ポイント上昇し、スライダーとの割合が逆転しています。どうしてフォークの割合が大幅に増えたのでしょうか?

年々向上するフォークの制球力

 フォークはストレートの軌道から落ちるボールで、打者の空振りを誘いやすい球種です。制球が難しいことでも知られる球種で、2013年の大谷はこのフォークを操りきれず高めに抜ける球が多く見られました。そのフォークの制球力が14年からは大幅に向上。高めの割合が減少し、しっかり低めに制球されるようになっています。15年はより精度が高くなっており、信頼度が上がった分だけこの球種の割合を増やしたと考えられます。

NPBで最も攻略困難な球種の1つに

 低めに制球されるようになった大谷のフォークは、打者にとって見極めることが難しい球種となっています。狙ったコースに制球しきれていなかった2013年こそボールゾーンスイング率がNPB平均を下回っていましたが、今季は同数値を大幅に上回っています。NPBの先発投手が投じる全ての球種の中で、圧倒的な空振り率を誇る変化球。それが、大谷のフォークなのです。

 常時150キロを超えるストレートと、ストレートの軌道から鋭く変化する精度の高いフォーク。これらの相乗効果が大谷の非常に高い奪三振率の源といってもいいでしょう。二刀流に挑戦中ということもあり、やや体力的な不安をのぞかせることもある大谷ですが、その投球能力は弱冠20歳にして天下一品。さらなる成長が楽しみな一方、今季被本塁打0の大谷から初本塁打を打つのは誰になるのか。そして、大谷に負けをつけるチームが出てくるのかという点にも注目です。