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コラム COLUMN

2人の新人王の2年目 ~球団・選手の互いの対応策~ タイムリーdata vol.20

小林 展久

 2月1日に始まったキャンプも半ばを迎え、選手たちの調整具合も徐々にオープン戦へ向けての実戦モードになっています。昨季新人王の広島・大瀬良大地、ロッテ・石川歩ともに順調にキャンプを過ごしているようです。いわゆる2年目のジンクスをはね返すための努力をオフから続けているということでしょう。彼らに限らず、活躍した選手にはどういう傾向があるのか、それを見た他球団のとる対策や、選手自身が自覚している弱点の克服を模索した結果などについて、今回のコラムでは昨年の新人王が両者とも投手ということもあって、投手を議題として述べていきます。

右打者に強く、左打者を苦手とする藤浪

 最初に挙げるサンプルは阪神・藤浪晋太郎です。197センチの長身と長いリーチ、ややインステップ気味のフォームから繰り出す150キロ前後のストレートやカットボールを中心にピッチングを組み立てている藤浪ですが、打者が左か右かでその相性が大きく変わる投手です。三塁側に向かって踏み込んでから投げるフォームで威圧できる右打者は抑えていますが、左打者には苦戦しています。対戦チームもそれを踏まえてか、2014年の藤浪は左打者との対戦数が増加しています。藤浪もインステップ気味のフォームを修正し、ツーシームの割合を増やして対応しようとしていますが、左打者に対する明確な回答を見つけるには至っていません。

フォークで新境地を開拓した則本、大谷

 次に、14年の奪三振王に輝いた楽天・則本昂大と10勝10本塁打という珍しい記録を成し遂げた日本ハム・大谷翔平の変化を挙げます。13年に新人王を輝く活躍を見せた則本ですが、奪三振率においてはとび抜けた存在というわけではありませんでした。しかし、13年のシーズン終盤にフォークを解禁。クライマックスシリーズ、日本シリーズもフォークを交えた投球で好投します。その自信を持って臨んだ14年はフォークの投球割合が大幅に上昇し、1年間投げきることで奪三振王のタイトル獲得につなげました。

 大谷も則本同様に昨季からフォークの割合が大幅に上昇しています。多彩な球種を投げていた大谷ですが、フォークを覚えてからはシンプルな投球スタイルになりました。この2人はリーグ屈指の速球派であり、ストレートへの意識を強める必要のある投手です。ゆえに、ストレートの軌道から急激に落ちるフォークで空振りが取りやすいと考えられます。フォークは制球の難しい変化球で、誰にでも扱えるというわけではありませんが、両者ともフォークの奪空振り率はリーグ平均をはるかに上回っており、十分に使いこなしているといえそうです。この空振りの取れるフォークが、そのまま奪三振率の大幅向上に繋がっています。他にも与四球率・P/IPなども成長しており、フォークの習熟が2人を入団2年目での1億円プレーヤーに押し上げた大きな要因といってもいいでしょう。

両新人王の特徴

 大瀬良と石川は新人王受賞という点だけでなく、多くの共通点を持っています。長身でストレート主体、四球の少ない投手であり、奪三振率が高くはないことなどです。もちろん、防御率で上回る石川が大瀬良より良いシーズンを送ったといえますが、石川の方が1試合登板数が少ないにも関わらず、9イニング多く消化できているところもポイントです。要因の一つに、石川の方が積極的にストライクゾーンに投げていることが挙げられます。ゾーン内に投げる方が被打率は1割以上高く、リスクを伴いますが、早く追い込む意識をつくることで、球数を節約できています。

 大瀬良の最大の長所は、リーグ4位の平均球速145.3キロを誇るストレートです。欠点は現状では三振を奪う決め球がないことでしょう。球種別被打率を見ても、いずれの球種も絶対的とはいえず、変化球に意識を向けさせることができていません。石川もストライクゾーンにボールを集めるスタイルを貫くならば、ほぼ3割あるストレートの被打率を抑えていきたいところです。

 大瀬良は体幹・下半身を強化したうえで、スプリットの習得を目指しています。石川も痩身だった前年より体重を5キロ増やし、より遅いシンカーで投球のバリエーションを模索中。これらを使いこなせるかが、2年目のジンクス回避、さらなる成長への大きなポイントでしょう。投手にとって新球種の仕上がりは、キャンプやオープン戦での状態を確認する優先事項となるため、話題にもなりやすいです。開幕までの1カ月強の期間、その出来に注目してみてはいかがでしょうか?