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コラム COLUMN

誰が試合時間を長くしているのか 投球間隔の数値化

山田 隼哉

 テンポの良い投手と聞いて、最初に思い浮かべる投手は誰でしょうか。あるいは、テンポの悪い投手と聞いて、思い浮かべるのは誰でしょうか。投球から次の投球までにかかる時間=投球間隔を細かく計測することで、いわゆるテンポの良い投手・悪い投手を客観的に判断することができます。

試合時間短縮は重要、でも現実は……

 今日のプロ野球界において、試合時間の長さは大きな問題のひとつです。電力消費による環境問題だけでなく、スピード感を欠いた試合展開は、近年の野球人気低迷につながっているとの見方もあり、球界全体が本気で取り組むべき課題となっています。

 ですが、現実はなかなか難しいようで、試合時間は短くなるどころか、むしろ2013年、2014年と過去10年で最も長い平均時間(9回試合で平均3時間17分)を記録しています。オリンピックの野球競技復活を目指す上でも、試合時間の短縮はテーマのひとつと言われていますが、そのハードルはこれまで以上に高くなっているのかもしれません。

 一体、何がここまで試合を長引かせているのでしょうか。

投球間隔が平均23.3秒から24.4秒に

 試合が長くなる要因は、投手交代の回数やイニング間のインターバルの長さ、打者が打席に入るまでの時間など、さまざまなものが考えられますが、今回は投手の投球間隔がテーマです。

 投球間隔は、試合時間を増減させるいくつかの要素の中でも、比較的選手が自分の意思でコントロールできる部類であると考えられます。もちろん、投手によって投げやすい“リズム”があったり、重要な局面では時間をかけて慎重に投球せざるを得なかったりするため、実際には簡単に変えられるものではありません。しかし、NPB全体の平均投球間隔を見ると、2014年は2009年に比べて、1秒以上も長くなっています。つまり、投球間隔の冗長が、試合時間短縮を妨げている可能性は十分にあるのです。

誰が投球を長引かせているのか

 では、投球間隔が長い投手とは具体的に誰なのでしょうか。これまで、投手の投球間隔は明確な数値で示されることがほとんどありませんでした。何となくテンポの良い投手・悪い投手というイメージはあっても、どの投手が平均何秒の間隔で投げていて、それは全体の中でどのくらい短い(長い)のかを示したデータは、おそらく目にする機会がなかったはずです。

 そこで、今回は当社が持っているシーズン全投球のデータをもとに、各投手の投球間隔の平均時間を割り出しました。これだけでは評価しきれない部分も多々ありますが、おおまかには、投球間隔が短い投手は試合時間短縮に貢献していた可能性が高い投手、逆に長い投手は時間短縮を妨げていた可能性が高い投手であると考えられるでしょう。

 なお、投球間隔の平均時間を計算するにあたり、以下のケースは除外しています。

  • 投球と投球の間に、打席完了やチェンジが発生しているケース
  • 投球と投球の間に、牽制やランナーの進塁・アウトが発生しているケース
  • 投球と投球の間に、選手交代やケガの治療、審判への抗議などが行われているケース

群を抜く“テンポの良さ”と、群を抜く“テンポの悪さ”

 では早速、投球間隔のデータを見ていきましょう。まずは間隔が短い投手からです。2014年シーズン、100イニング以上投げた先発投手を対象にしています。

 最も投球間隔が短かったのは西武・牧田和久で平均18.5秒でした。ランナーがいない状況では平均13.8秒、ランナーがいる状況では平均25.2秒。私たちが確認できた限りでは、最も短い投球間隔は8秒でした。牧田はこの10名の中でも特に、試合時間短縮に貢献していた可能性が高い投手と言っていいでしょう。以下、広島・バリントン(現オリックス)、ロッテ・石川歩と続きます。ちなみに牧田とバリントンの2トップは、2013年シーズンも同様の結果でした。

 逆に、最も投球間隔が長かったのはヤクルト・小川泰弘で平均29.1秒。牧田とは10秒以上の差がありました。2番目に長かった楽天・塩見貴洋と比べても、小川の投球間隔の長さは際立っています。残念ながら彼の投球は、試合時間短縮の妨げになっていた可能性が高いでしょう。また、ほぼ全ての投手に言えることかもしれませんが、いわゆる“15秒ルール”の制度がうまく機能していなかった可能性は否定できません。よりいっそう力を入れて試合時間短縮に取り組むのであれば、選手だけでなく審判のさらなる努力も必要になってきそうです。

 リリーフにも触れておきましょう。40イニング以上投げた投手の中で、投球間隔が長かった投手10名です。先発と比べ、全体的に投球間隔が長くなっているのが分かります。登板する局面の違いから、リリーフの方が1球1球に時間がかかるのはある程度やむを得ないことですが、平均30秒前後の投球間隔となると、見る人によってはややストレスを感じる長さかもしれません。

打者による遅延も無視できない

 これは投球間隔が長い“打者”の顔ぶれです。投球間隔は投手の意思だけでなく、打者の行動によっても左右されます。例えば、1球ごとに打席を外すとか、なかなかバットを構えず、投手と対峙しないといった行動です。ここに名を連ねている打者たちも、何らかの行動によって投手の投球を遅らせている可能性があります。打者による遅延も、試合時間短縮に向けて考えなくてはいけない問題なのです。

試合時間短縮のためにできること

 最後に、チームごとの投球間隔を見てみましょう。「TOTAL」は投手・打者を合わせたチーム全体の投球間隔です。これが平均25秒台と他チームに比べて長いソフトバンクとオリックスは、NPBが公表している平均試合時間でも、12球団のうち1番目と2番目に長いチームでした。一方で、平均試合時間が12球団で最も短かった巨人や、パ・リーグで最も短かったロッテは、投球間隔でも短い数値が出ていました。やはり投球間隔と試合時間は、無関係とは言えないようです。

 さて、今回の結果を踏まえて、投球間隔が短かった選手は、良い手本として評価されるべきでしょう。逆に、投球間隔が長かった選手は、試合時間短縮のために、多少改善の余地があるということだと思います。もちろん、選手の本来の目的はチームの勝利に貢献することで、試合時間を短縮することではありませんので、難しい部分はあります。でも、もしかしたら、自分の投球間隔が長いことに気づいていない選手も案外多くいるのかもしれません。まずはその結果を知り、改善を図ることが重要ではないでしょうか。コーチの指導によっても、投球間隔は短くできるかもしれません。球界全体が試合時間について考え、努力することが求められています。今回のレポートがその一助となれば幸いです。