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コラム COLUMN

今年の殿堂入りは古田!希代の名捕手の功績を振り返る タイムリーdata vol.17

多田 周平

 昨日1月23日、新たに3人が野球殿堂入りを果たしました。古田敦也、林和男、村山龍平の3氏です。今回は野球殿堂について触れるとともに、栄えある殿堂入りを果たした「選手・古田」の活躍ぶりを、振り返ってみたいと思います。

 野球殿堂は日本野球の発展に大きな貢献をした人物の功績を永久にたたえ、顕彰するため1959年に創設されました。同年は巨人軍を創設した正力松太郎や、伝説の大投手・沢村栄治など9人が表彰されています。

 野球殿堂は、競技者表彰のプレーヤー表彰、エキスパート表彰、そして特別表彰に大きく分かれます。選出対象、選手方法は以下のように異なります。

 プレーヤー表彰は現役引退から5年が経過した選手が対象。引退後20年まではプレーヤー表彰の対象となり、その次の年からはエキスパート表彰の対象となります。エキスパート表彰は2007年6月の表彰規定改正により、導入された部門で、これによって以前よりは門戸が広がったともいえます。

 では、ここからは古田氏の活躍についてスポットを当てることにしましょう。

1年目から卓越していた守備力

 古田は24歳の1989年、ドラフト2位でヤクルトに入団。1年目から106試合に出場を果たすと、リーグトップとなる盗塁阻止率.527を記録。ルーキーながらゴールデングラブ賞に輝きました。新人での同賞受賞は当時5人目でしたが、捕手での受賞は現在まで古田ただ1人という快挙です。古田はこの年を皮切りに、ゴールデングラブ賞に輝くこと10度。これはリーグの最多タイ記録(他に山本浩二、駒田徳広、宮本慎也)となっています。

 入団1年目から5割を超える盗塁阻止率を記録した古田。この強肩は毎年発揮され、1993年には同.644を記録しています。そもそも5割を超えること自体驚異的で、最近10年間で5割を上回る阻止率を記録した選手は両リーグで1人もいません。
 シーズン盗塁阻止率のランキングを見ると、上位5位までに古田が3度もランクイン。特にランキング上位に該当する年度のリーグ平均が4割に満たないだけに、いかに古田の肩が傑出しているかが分かるのではないでしょうか。

 また守備率で見ても、球界トップクラスとなります。捕手として1959試合に出場し、失策は49。堅実さという面でも古田の右に出る者はいなかったようです。

バットでも存在感を発揮

 古田が殿堂入りを果たした理由は、前述の守備だけではありません。攻撃での貢献も挙げられます。

 通算安打数は2097本で、捕手では史上2位の数字です。1991年には捕手でセ・リーグ初の首位打者に輝いた実績を誇り、通算打率は.294と、上位5位までに入った他の捕手に比べても高い数字であることが分かります。2000安打達成は捕手では2人目、さらに大学・社会人を経て入団した選手では史上初(後に宮本慎也も達成)でした。2000安打達成者は現在まで44人いますが、古田の場合は捕手という負担の大きいポジションに加え、遅い入団で達成したことに価値があるといえそうです。

ダブルMVPと、現役捕手初の快挙

 古田は入団3年目の92年に初めてリーグ優勝を経験すると、翌年にはリーグ連覇と日本一を達成します。さらにその後も3度の日本一を達成と、ヤクルト黄金時代に不可欠な存在となりました。中でも貢献度が高かったのは97年のシーズンではないでしょうか。

 この年、全137試合に出場した古田は捕手としてはもちろん、4番で97試合にスタメン出場を果たすなど攻守の要を担いました。特にチャンスに強く、得点圏打率は両リーグトップの.374(ちなみにパ・リーグトップはイチローで.373)。主軸としてきっちりと役目を果たし、チーム2位の打点を記録しました。この年はシーズンMVP、日本シリーズMVPに加え、現役捕手では史上初の正力松太郎賞にも輝くなど、圧倒的な存在感を放つシーズンとなりました。


 前述したグラウンド上での活躍にとどまらず、球界再編騒動が起こった2004年にはプロ野球選手会長として史上初のストライキにも踏み切り、12球団で運営していく枠組みの維持に貢献しました。多くの“史上初”を実現してきた古田の、今回の野球殿堂入りは、ファンも納得の結果ではないでしょうか。