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コラム COLUMN

銭はグラウンドのどこに落ちているのか タイムリーdata vol.11

佐々木 浩哉

 師走も中旬を迎え、球界では粛々と契約更改が進められています。満面の笑みで報道陣に一発サインを報告する選手、渋い表情で保留の旨を伝える選手。選手たちの喜怒哀楽が浮かんでは消える、オフ期間ならではの恒例行事です。

 「グラウンドには銭が落ちている」と喝破したのは、南海ホークスの指揮官として辣腕をふるった鶴岡一人。若い選手たちを奮い立たせる殺し文句としてつとに有名なこの言葉ですが、ここで気になるのは、銭は広いグラウンドのどこに埋まっているのか。今回のタイムリーdataでは、ポジション別の「銭(年俸)」に注目します。

※文中、表中の年俸は推定

 「銭」の分布を特定するためにポジションごとの年俸総額を比較してみましょう。投手は野手の各ポジションと比べて選手の絶対数が多いため、今回の調査の対象には含めません。ポジション別の年俸を算出するにあたって今回は守備イニングをベースに計算しました。

 巨人の阿部慎之助を例に説明します。2014年の阿部は捕手、一塁手、指名打者と3つのポジションを掛け持ちしました。捕手として守備に就いたのは892イニングで、自身の合計守備イニング(1071)に対する割合は83%。この83%に今季の年俸6億円を掛けると4億9972万円となり、この額を捕手・阿部慎之助に支払ったコストとして計上します。同様に一塁手・阿部慎之助は9524万円、指名打者・阿部慎之助は504万円。こうして各選手の守備位置ごとのコストを合算したものが上記のオレンジ色のグラフになります。

 最も多く「銭が落ちている」ポジションは一塁手(1B/約27億円)。次いで左翼手(LF/約25億円)、三塁手(3B/約23億円)の順番となりました。いずれも高い打力を求められ、助っ人選手のメインポジションとなるケースが多い守備位置です。年俸が高額なだけに期待値も高く、定位置確保のハードルが高いポジションであるとも言えます。同様の傾向がある指名打者(DH/約20億円)ですが、制度上セ・リーグの打者が伸びにくいため全体の4番目の額に留まっています。

 「銭の少ない」守備位置は中堅手(CF/約11億円)、遊撃手(SS/約12億円)、二塁手(2B/約13億円)など。戦略的にも戦術的にもセンターラインの重要性は強調されるところですが、意外なことに金脈の点ではむしろ貧弱といえる傾向になっているようです。

 上記の青いグラフは先発した野手のポジションごとの平均年齢を表しています。ご覧の通り、オレンジの年俸グラフにかなり似た動きを見せていることが分かります。つまり年齢の高いポジションほど高価である傾向を示していて、「ベテラン≒高コスト」という一般的なイメージを裏付ける結果と言えるでしょう。

 中堅手や二遊間は守備面で求められる運動量が多く、ベテランにはやや負担の大きいポジションとなっています。また、日本でプレーする助っ人選手たちは打力に特化したタイプが多く、これらのポジションを守ることは多くありません。従って捕手を除くセンターラインには"動ける”若手選手を配置する傾向が強く、結果的に年俸が低く抑えられている側面があります。ポジションに応じて求められる能力が異なり、「銭」のあり方も変化しているのです。